世の中に数多くある名盤の数々をドラマーの視点からレビューし、ドラマーの読者に紹介するという企画、ドラマー的ディスクレビュー。

第二回の今回は、ヘヴィロック、とりわけストーナーロックと呼ばれるジャンルから、「Songs for the Deaf」(Queens of the Stone Age)、「Royal Blood」(Royal Blood)の2枚を紹介したいと思います。

ストーナーロックというジャンルはブラック・サバスやレッド・ツェッペリンなどの初期ヘヴィメタル、ハードロックに影響を受けた人々が1980年代後半に生み出したジャンルで、重いグルーヴやサウンドが特徴のジャンルです。

1枚目の「Songs for the Deaf」ではあのニルヴァーナのドラマーとして活躍し、フー・ファイターズではフロントマンに転身したという才能の持ち主、デイヴ・グロール(Dave Grohl)がドラムを務めています。

また、2枚目の「Royal Blood」はベースボーカルとドラムという異色の編成で話題を読んだ若手バンド、ロイヤルブラッドのファーストアルバムであり、セルフタイトルアルバムです。

1枚目はデイヴ・グロールがドラムで2枚目はリズム隊のみのバンドであるという点から、ロックファンのみならず、ドラマー全員に読んでほしい必見の記事です。

1,「Songs for the Deaf」Queens of the Stone Age
Songs for the Deaf
Queens of the Stone Age
Universal
2006-06-06


まず一枚目はストーナーロックの先駆者、ジョシュ・オム率いるクイーンズ・オブ・ザ・ストーン・エイジの3rdアルバム、Songs for the Deafです。上記の通り、ドラマーはデイヴ・グロールです。

アルバム全体としては、バンド全体がとても重い音をしていて、そこにデイヴ・グロールのパワフルなサウンド、グルーヴがぴったりあっています。デイヴ・グロールのドラムはとにかくパワフルなんですが、実は指先の繊細なコントロールが要求される難しいプレイもサラッとこなしていて、流石だと思います。

特にピックアップしたい曲は2曲目のNo One Knows、4曲目のSongs for the Dead、7曲目のHanging Treeです。

2曲目のNo One Knowsで言及したい点はサビで6連符を基調とした多彩なフィルインが聞ける点です。


この曲のサビはフィルインから始まるワンフレーズの繰り返しになっているのですが、それぞれ違うフィルインが使われています。その中でも三回目のフィルインが手数が多く難しいフィルインで聞いているととても気持ちいいです。この手のフィルインは左手のスティックコントロールと両手の均一さが大事になってくる難易度の高いものです。

4曲目のSongs for the Deadは、ミドルテンポの16ビートのグルーヴと疾走感ある8ビートの2つのリズムが交差する曲です。この曲のイントロでは、いきなり重いギターリフをバックにドラムソロが始まり、ドラマーの心をつかみます。

更にこの曲の後半では1つのリフを何度も繰り返し、これでもかというほどテクニックを詰め込みまくり、静かになって曲が終わるかと思えばまた繰り返しています。この曲はデイヴ・グロールが我を出すために作られた曲なのではないかと思うほど冗長で独りよがりなドラムプレイが聞くことができ、ドラマー以外には退屈かもしれません。しかしドラマーに取っては盗むべき点で溢れていて素晴らしいカタログのような曲です。

7曲目のHanging Treeは先程の2曲ほどのインパクトはありません。しかし、よく聞いていただくとわかるようにこの曲は5拍子の曲となっています。また、この曲以外の曲も全体的に様々なリズムパターンが使われていて、バラエティに富んでいます。

2,「Royal Blood」Royal Blood
Royal Blood
Royal Blood
Warner Bros / Wea
2014-08-26

2枚目は冒頭でも説明したとおり、ベースボーカルとドラムの2ピース若手バンドのファーストアルバムです。ドラマーはベン・サッチャー(Ben Thatcher)です。

このバンドは先程のクイーンズ・オブ・ザ・ストーン・エイジからの影響を公言している通り、マイク・カーの極限まで歪ませたベースサウンドと、ベン・サッチャーの重くパワフルなドラムからなる、重いグルーヴの曲が多いです。しかし、ヒップホップからも影響を受けているそうで、クイーンズ・オブ・ザ・ストーン・エイジと比べ、BPMが遅く、ヒップホップ的な16ビートのリズムの曲が大半を占めています。

更に、ベースとドラムだけという少ないバンド編成からか、相対的に曲中のドラムが占める割合が大きくなっていて、随所に印象的なドラムプレイが見られます。

ドラマーであるベン・サッチャーのプレイとしてはパワフルで、重い16ビートのグルーヴやフラムを応用したフィルインが多い印象を受けます。

今作で印象深いのは1曲目Out of the Black、3曲目Figure it Out、6曲目Little Monsterです。

1曲目のOut of the Blackはこのアルバムの中でも特に遅く重いグルーヴの曲です。ベースとドラムの絡みが素晴らしいリフは、聴いていて難しいという印象は受けないと思うのですが、実際にプレイしてみると左手で連続してスネアでオープンリムショットをしなければいけないので思ったより難しいです。

3曲目のFigure it out では一つ前の小節の裏を頭として入る箇所が何箇所かあり、バッチリ決まっているのですが、コピーするならばフィルインの始まる手が左右どちらか考えなければいけないので注意が必要です。また、後半の加速していくドラムとベースが素晴らしく、ドラムの目立つポイントも用意されていて気持ちがいいです。

そして、最も直接的にドラムが目立つのは6曲目のLittle Monsterです。この曲は16ビートのはねたリズムがヒップホップからの影響を感じさせるのですが、最も注目すべきポイントは後半のドラムソロです。このドラムソロは手足のコンビネーション、更にフラムを多用していて気持ちいいです。

その他にも10曲目のBetter Strengarsなど素晴らしい曲揃いなので、ぜひ聞いてみてください。